まとめ

【2020年2月の9冊】年100冊を読む元書店員建築家の本棚

何か新しい本が読みたいけど何を読もうかなあ
僕は2月に9冊の本を読んだので、その中からご紹介します

2020年2月に読んだ9冊の本まとめ

今月は9冊の本を読んだ。小説から専門書まで、幅広くおすすめしていこうと思う。

1.ファウスト/ゲーテ

アンパンマンよりバイキンマン。バットマンよりジョーカー。スパイダーマンよりゴブリン。ニヒル好きの僕はいつでも悪役を応援してきたし、事実世界には、天使の数より、悪魔の数の方が多いことには頷ける。この本程、善悪の反転を考えさせられる物語はない。ファウスト伝説では本書が最も有名かと思われるが、トーマス・マン、スティーブン・ヴィンセント・ベネットといった作家たちも、多様なファウスト伝説の翻訳を試みているので比較的に読むのも面白い。

2.遠い声遠い部屋 /トルーマン・カポーティ

人間である限り、現実から目をそらし、まどろんでしまいたい瞬間は多々あるだろうが、そんなときに本作は、理由聞かずに僕達を謎めいた虚空のゴシックの館に幽閉してくれる。この作品を、若干二十三歳で書ききったというカポーティの早熟性を物語る半自伝である。常人離れした幻想的比喩、どこかに影のある危うい登場人物、不明瞭なプロットに、はじめは気おくれした。読後感も決してさわやかなものではなかった。しかし、この本には僕達をどこかずっと遠くへ、ことばの位相が少しだけずれたパラレルワールドへと、連れて行ってくれる重力を持っている。

3.神曲 地獄篇/ダンテ

帰宅ラッシュの京王線で読了。コロナウイルスと花粉症とインフルエンザの恐怖と背中合わせの満員電車はさながら地獄であった。

引用に次ぐ引用で、目まぐるしく、どこまでも拡大する地獄の世界観には華やかさすら感じる。700年を生き残った古典、おもしろくないわけがなかった。

ダンテの禁忌な宗教世界で罰せられ続ける人間のあらゆる悪行に自分がいくつ当てはまったかを数えながら読むと泣けてくる。三角漏斗型地獄の世界観を描くボッティチェリの戯画的挿絵はやはり地獄のおぞましさを引き立てている。

4.ロダン:神の手を持つ男/エレーヌ・ピネ

彫刻家ロダンが気になっていた。理由はダンテの神曲 地獄篇を読んだからだ。

ロダンは本を愛し、いつもポケットには何冊もの本を入れていたそうだが、

ことダンテに対しての愛はひとしおでダンテの地獄篇に着想を得た「地獄の門」を

20年以上にわたって創作したそうだ。写真が多いので、ロダンの力強い彫刻世界を堪能しながらもその文学的意図にあふれた作品を俯瞰することができる。

5.デジタル時代の知識創造 /長尾 真

図書館、図書館運営にはじまり、電子書籍とハード本、著作権制度、オーソン・ウェルズの世界脳、Google、電子自費出版など、

数ある研究者、関係者による情報資産を用いたこれまでの知識創造と、これからの知識造像への考察とハウツーがぎっしりとまとめられた本書は、普段僕たちが何気なくネットサーフをして消費している情報資産としての、記事や著作をふと振り返って、その活用や現状、未来の知のあり方を見つめ直させてくれる「知の為の知」の視点を与えてくれる。短い章立てで、テーマも広範なため、自分が気になるトピックを気軽に拾い読みできる。

6.やわらかいロボット/

人間のみならず、生きとし生ける全ての生き物とは、 かくもやわらかく、高性能であり、現代の技術を持ってしてもフル再現するには至らない、複雑にして精巧な機械であることを思い知らされる一冊。SF好きなぼくとしては、ロボットという言葉の由来である カレル・チャペックの戯曲「RUR」から展開される序論から、最終章に至るまでの、テックボキャブラリーの応酬を浴びていると、名作攻殻機動隊のごとく、自分にロボットアームが実装されていくような身体的満足を伴う読後感だった。

7.二十六人の男と一人の女/ゴーリキ

ロシアの作家ゴーリキーは苦労人で知られる。この小説の主人公であるパン屋で名もない機会のように働く二十六人の男達は、彼の辛いパン屋での労働経験に基づくものだそう。一人称複数で語られる機械のような私達にとっての、唯一の心の安らぎは、パンを求めてやってくるある美しい少女である。

彼女への純粋な想いと、そんな彼女が巻き起こす思わぬラストに、

「私達」は機械であることを止め、ある意味で、最も人間らしく振舞うのである。

8. 点・線・面/隈研吾

国立競技場を手掛けた話題の建築家/隈研吾の新刊本。

隈の文章は親しみやすく、建築初学者であっても

エッセイを読むように気軽に読みすすめることができる。

先日レビューを書いたので、くわしい感想はこちらでご覧いただけます。

話題の建築家/隈研吾の新書「点・線・面」が面白い【レビュー】

9.鉛筆と人間/ヘンリー・ペトロスキー

仕事柄シャープペンシルをよく使うので手に取った。

ダ・ヴィンチ、ヘミングウェイ、ナボコフ、リンカーン、ソロー、

どこにでも転がっているけど、ないと途端に困るありふれた必需品である 鉛筆を愛した偉人たちのエピソードに惹かれた。

鉛筆にまつわるあらゆる歴史、製法、文化、デザイン、哲学、雑学を 集約した、辞典的ボリュームである。

これを読んで、消しゴム付きの鉛筆を文具屋で早速買い求めた。

まとめ

いかがだったろうか。

今回は2020年2月に僕が読んだ9冊をご紹介してきた。

僕個人は、最近は文学、それも存命の作家からは少し距離をとって古典といわれるものまでを射程に

読み進めているが、そういう意味でいうと今月は四作の名作古典を読むことができた。

また、この月は、連休や、花粉症、コロナウイルスの影響で

家にいる時間が増え、それなりにまとまった数の本が読めたともいえる。

この記事を読んでいただいている誰かの次の本へのスムーズな「読書はしご」を促す一稿になれば嬉しい。

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